風俗嬢チエの風俗嬢ってどないやねん！！
愛され風俗嬢になるために～第6話
『お客さんも女の子も、試行錯誤なんや。
苦しくならない程度の本気で、いかに恋愛を楽しむか。
楽しませてあげられるか。
それがこの世界の面白いところなんやで』
………チエにはまだ、その意味がすべては分からなかったが、
ただ疑似恋愛は、とてもデリケートで複雑で、扱い方が難しい。
でもとても、ステキなもんなんだということだけは
何となくわかった気がした。
『そうやで～～ウチなんか、もっと怖い目に遭ったこと
あるんやから！！』
『だいじょーぶやチエちゃん！！この店におれば、
スタッフが守ってくれるから！！』
そう言って、指名のお客さんがたくさんいる女の子たちが
肩を抱きしめてくれた。
ここは、とってもとっても温かい・・・・
この仕事を始めて、初めて感じた温かさやった。。。
『ま、チエちゃんに何事もなくてよかったわ。これも勉強や！！』
笑ってスタッフに背中をたたかれ、
その日はそのまま上がっていいよと言われた。
………チエは帰り道、ずっと頭から離れないことがあった。
『本気で好きになったのに！！』
そう言って本気で悲しそうな表情をした、
江口さんの顔だった。。。
あれは、完全にチエが悪かったと思った。
仕事じゃない。もうすでに、疑似恋愛を越えた『恋愛』を、
江口さんはチエにしてしまっていたんや。。。
そうさせたのは。。。
疑似恋愛を使いこなせていない、チエのたくさんのミスやった。
『好きだよ』ということば。
相手の要望にこたえてあげるボーダーライン。
きびすを返す瞬間。
どれもすべて、使い方が難しい『疑似恋愛』のテクニックや。
相手を想うがゆえに、これを上手に使ってあげないと、
お客さんは心からこの世界を楽しむことができない。
だからこそ、使いこなしたうえで全力でそのお客さんを
愛してあげられれば、たとえ彼氏がいようがなんだろうが、
そのお客さんはもう絶対に自分から離れない。
自分が会いたいときだけじゃなく、
こっちが困ったときに、お金握りしめて飛んで来てくれるくらいの
太いお客さんになるんや。。。
それはもう、『愛され風俗嬢』の出来上がりやな。
あの頃のチエには、まだまだ経験が足りなすぎた。
ただ、この江口さんとの出会いが、
このあとの風俗嬢チエのすさまじい成長の
キッカケになってくれたことは言うまでもあらへんかった。
チエはめっちゃくちゃ勉強し、たくさんのお客さんと接し、
また何度も何度も失敗しながら、
『疑似恋愛』を手の中におさめていったんや。
それは、１人１人のお客さんと本気で向き合うこと。
流れ作業でサービスするんじゃない。
１回１回を本気で取り組むことにあった。
簡単なことやないし、労力もいる。
けど、返ってくるものは明らかにデカかったわ。
３年後、チエには６０人以上の指名客さんが付いていた。
その中で、『彼氏のいる風俗嬢』としてのチエを愛して、
守ってくれる太いお客さんもたくさんいた。。。
どんな世界でもそうやけど、自分の気持ちひとつで、
その世界のプロにもアマにも成り得る。
どんな世界でもや。。。
プロになった愛され嬢のクリスマスなんてモンは、
そりゃぁーーー忙しいモンやで！！（笑）
みんな、はじめは上手に出来なくて当たり前。
失敗して当たり前。怒られたって当たり前。
それでもめげずに頑張れば、
誰でも”愛され風俗嬢”になれるってことや。
難しいことじゃない。
１回１回を真剣に向き合って接客する。
たったそれだけ♪
読んでくれてありがとう♪
次回の「風俗嬢ってどないやねん」は3月26日アップの予定です。
チエ
大阪・ミナミの風俗3ねんせい。一緒に暮らしている彼にバレることなく仕事を続け、ガッポリ貯めこんでいる。
