恋の花びら大回転

【第86話】変態紳士、現る!≪前編≫
先日、とんでもない変態紳士に出会えたので、皆様に御報告させていただきます。
その紳士は40代のサラリーマンで、舐め犬を探すために始めた出会い系で知り合いました。
「とにかく女性に気持ちよくなってもらいたい!」というご奉仕型とのこと。
プロフィールの書き方が非常に丁寧で、日記の文章も簡潔かつ面白い。
私はテキスト至上主義なので、文章が面白いだけで、いきなり好感を持ってしまいました。
クンニだけの関係を希望している旨を伝え、何度かメールのやりとりをした後、「とりあえず話だけでも」と、実際に会ってみることに。
数日後、待ち合わせ場所で声をかけられた私は、思わず目を疑いました。
めっっちゃかっこいい。長身で品のいい笑顔、スラリと長い手足に高そうなスーツ。
待ち合わせ場所に着いた時、実はすぐ目に付いてはいましたが、あまりにもかっこいいので素通りしていました。
まさか、出会い系でこんな素敵な男性が出てくるなんて。
「まずは、お話しましょうか」
そう言って歩き出す時も、道路側を歩かせないようにスッとエスコートしてくれる。あまりのかっこよさに混乱し、
「私、これから猟奇的な殺人に巻き込まれるのかな?」
と不安になってしまったほど。
カラオケの個室で向かい合って話してる間も、眩しくて直視できない。
「この人は、生きたまま私の肝臓をえぐり取って、そら豆と一緒に食べるに違いない…」
卑屈になり過ぎて、目の前の紳士とレクター博士の区別がつかなくなる始末。
そんな私にも、ニコニコと優しく話しかけてくれるレクターさん。
京都の出身らしく、たまに会話の途中で関西のイントネーションが混ざるのがキュートです。
レクターさんは、もともとSっ気の強い男性で、M女を探すために出会い系を始めたのだとか。
しかし、今ではすっかりご奉仕する側となり、変態プレイに付き合ってくれる女性を探しているそうです。
「僕、女の人の足の臭いが大好きなんです。ちょっと失礼」
そういうなり、私の太い足首を愛おしそうにそっと持ち上げ、靴を脱がせました。
構図だけ見れば、シンデレラの前にかしづく王子様みたいでロマンチックなんですが…。
レクターさんは、私にガラスの靴を履かせてくれるわけではなかった。
私のでかくて扁平足な足を、いきなり自分の顔に押し付け、鼻を鳴らして臭いを嗅ぎ始めたのです。
ああ、こんなに見た目が素敵な紳士でも、やっぱりこっち側の人間なのね…。
遠い目のまま、初対面の紳士に足の臭いを嗅がせる私。この後、レクターさんが本領発揮します!
(後編に続く)

藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!