恋の花びら大回転

【第61話】「お客様気分」前編
以前、スナックでアルバイトしていた時のこと。
自称ブス専のお客さん(50代前半くらい)が、
「美人でおっぱいの小さい女なんて、性的に全く魅力ない!風俗にいても絶対指名しない!」
と、でかい声で捲し立てていました。
周りにスレンダーな女性のお客さんもいるのに。
人の好みや感性はそれぞれなので、そう思っていたとして何ら問題はないんですけど、それを声高らかに表明するのは、あまりにも品性に欠ける。
そもそもブス専なら
「俺、ブス大好き!!」
と言えばいいのであって、わざわざブス以外の女性を蔑む必要はないのだし。
美人に相手にされないから、せめてブスを持ち上げることで優位に立とうとしてるんでしょうけど、そんなつまんない自尊心のためにブスを使わないでいただきたい。
こちらも遊びでブスやってんじゃねえんだよ!
女性客のお酒がまずくなったら申し訳ないので、
「いやいや、何言ってるんですか、美人だってあなたに対して同じこと思ってますよ」
と笑っていさめたら、おじさんはキョトンとしていた。
「え?なんで??」みたいな顔で。
そして、すぐに話をそらしてしまった。
その時のおじさんのポカーンとした顔が、なんだかすごく気持ち悪かった。
そういえば、
似たような顔をお風俗やお水にいた時に何度も見てきた。
自分は、「選ぶ立場」「評する立場」であって、異性側に「選ばれる(あるいは選ばれない)」「評される」ことは決してないと思っている人間の顔。
もちろん、女性にもそういう人はいますが。しかしながら、男性の方が圧倒的に多い。
何故なら、彼らは常に「お客」だから。
キャバクラ、おっパブ、ピンサロ、イメクラ、ソープなど、ありとあらゆる男性専用サービスが街中に溢れ彼らはお金さえ払えばたいていのことが許される。
容姿に文句をつけるのも、女性をコンテンツ(情報、商品)として消費するのも、お客だから当たり前。
彼らの中でサービスを提供する側に立てる人はほんと一握りで、その他大勢の男性は一生お客様気分です。
だから、無邪気に年下の女を「ババア」呼ばわりしたり、初対面の女性にブラのカップを聞いたりする。
たぶん、自称ブス専のおじさんは、自分が誰かに
「性的に魅力がない」
「指名したくない」
と言われる可能性があるなんて想像すらつかないのでしょう。
あのキョトンとした顔は、彼がいかに恵まれて、女性に甘やかされて生きてきたかの象徴のようにも思えます。
なんとこの話、もう少し続きます。次回を待て!

藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!